HiraHira blog

保護犬と暮らしと、ときどき映画

007/ノー・タイム・トゥ・ダイ

『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』OST

ダニエルボンドの終焉として素晴らしい作品でした。
冒頭から凄まじいカーチェイスと驚きのバイクチェイスで、古いジャマイカの石畳の街並みを壊さんばかりに疾走バトルします。もう私たちには見慣れているアクション映画必須のモーターシーンですが、この作品については際どいを超えて美しいと思える新しさがありました。
やはり監督の観せ方で作品は決まりますね。今作は日系アメリカ人の新鋭キャリーフクナガという人。007のお約束のひとつ、過去作品に何度も登場する和風ガジェットですが、今作はグッとくる本物の極めつけを持って来ています。過去作は日本人がおおよそ使用しない柄の着物やチャチなお土産品のような扇や屏風など、日本をよく知らない人が作った、作品をお軽くする和風テイストとは訳が違う。日本人もゾクっとくる和の恐怖を織り込んだあたり、日系の監督であるが所以でしょうか。出てきてすぐ撃たれる敵の部隊たちも、ちゃんと訓練された姿勢をとっていて臨場感があり手強さを感じました。

007のシリーズものとしての部分はしっかりと踏襲しながらも、CGだけに頼らない新しい疾走感と重厚な作品に仕上がっていると思いました。この監督、もう次回作が頭の中には出来ていると言う、注目の監督です。

最後の「青い目だ。俺の目だ」は、このシリーズの1作目に青い目のボンドとして叩かれた過去を逆手に取って、この先未来に生きていくマチルダに、クレイグボンドの誇りを託した、胸が熱くなる場面でした。
監督と作品ばかりのレビューになってしまいましたが、ダニエルクレイグの素晴らしさや感謝についてはドキュメンタリー「ジェームズボンドとして」のレビューに綴りました。解っているけど寂しすぎるんです。なので、さよならは言いません。
ありがとうダニエル。
ありがとう私たちのボンド。

※こんなに書いたのに、読み返したら想いの4分の1くらいしか書けていませんでした。文章が下手で表現力に乏しいと言ってしまえばそれまでですが、それくらい心揺さぶられ溢れ出る感情をこの作品、シリーズで与えて貰ったことに感謝します。