HiraHira blog

保護犬と暮らしと、ときどき映画

アカデミー賞を観て

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ウィルスミス、平手打ち事件の一報を知り、

先ずはびっくりしました。

 

更に、ウィルのこの行動について、日本人の

「当然である」

「自分もそうするだろう」

「クリスロックは言葉の暴力をしたのだから仕方ない」

と言う意見が、少なくともインターネット上に圧倒的に多い事に

二度びっくりしました。

 

私は、洋画が大好きで40年以上、何百と言う作品を観てきました。

ウィルスミスは『バッドボーイズ』の時代から大好きな俳優さんです。

アカデミー賞授賞式も何十回と観てきています。

 

思うに、日本人のウィルスミス擁護は、

大人しい日本人の、社会や会社の空気を読み過ぎて疲れた

自分の身代わりとして、まるで彼が歴代演じてきた

映画の中の正義感の主人公のように観ているのではないかと感じてしまいます。

 

「自分もそうするだろう」

???…本当ですか?

インターネット上での悩み相談に見うける、

ブラック企業や他人からの、

人格を否定する様な発言を繰り返し受けている人のなんと多いこと。

「GIジェーンの次回作期待しているよ」なんてお軽いもんではありません。

到底容認出来るものではない酷い内容のこともしばしばです。

受けた彼らはみんな、相手に平手打ちしていますか??

してないですよね、出来ない、やってはいけないから相談してるんですよね?

「自分もそうするだろう」が大半であるのなら、

容認出来ない酷い侮辱を受けたので、相手を平手打ちしました、

の記事やブログ、コメントがもっともっとたくさんあって然るべきですが、

そんなものは私の見受ける限り、ほぼありません。

 

長年、アカデミー賞授賞式を観ている人ならば、

プレゼンターが会場にノミネートされている俳優さんを下げて、

ちょっと下品に面白おかしくいじるなんて、半ば当たり前のこともご存知のはず。

 

またこのジョークに関しては、

米国在住の方や米国文化をよく知る人が言及していますが、

米国と日本では文化の違いが大きくあります。

毎年アカデミー賞プレゼンターが言うジョークに、

日本人で声を出して笑っている人を、私はあまり見たことがありません。

でも、毎年アカデミー会場では、俳優さんはゲラゲラ笑っています。

今年のその発言中も、まあまあ笑っていました。

今までのアカデミー賞のプレゼンターも、

似たようなことを言っていないわけではありません。

私からすると、俳優本人が怒るんじゃないかと思う内容のことでも、

カメラがその俳優にパーンすると、

大声で笑っている、或いは、席から笑顔で大きな声で

「そんなこと言うなら、お前の秘密もバラしちゃうぞ(笑)」的なことを言って、

更に会場を沸かせる、と言った場面もよくあります。

 

今回の件は、

プライベートで起こったなら様々な立場で議論するべき問題ですが、

あくまでも、アカデミー賞授賞式というショーであること、

アカデミー賞の運営側が、

コメディアンであるクリスロックをプレゼンターとして選んだこと、

(生ぬるいジョークではなくキツめで際どい皮肉も当然含まれる)

そしてアメリカのジョークは日本のそれとは違うということ。

 

更に付け加えると、

もしウィルスミスが白人であったら、どうなるでしょうか?

侮辱する内容をアフリカ系コメディアンが言い、

言われた白人俳優が平手打ちして、その後Fワードを大声で何度も言いました。

人種問題に発展し、今の状態で済まなくなる事は容易に想像できます。

逆もまた考えてみる必要があるでしょう。

これを考慮しないで、単一民族の日本人の感情で軽々に語り、

様々な人種が住む当事国の判断を理解することは、到底無理だと思えるのです。

もちろん誰にだって、その人なりの理由はあるんです。

理由があるからと言って、物理的な力の行使を容認してしまうと、

次の事件はもっと悲惨で複雑なものになるという事を、

私たちは今まで経験してきたはずです。

 

こと日本人の「自分もそうするだろう」には、

自分もウィルスミスのように振る舞いたい、或いは振る舞いたかった、と言う

自分の環境下における感情的な投影が、強く出ていると思えてならないのです。