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保護犬と暮らしと、ときどき映画

ジョーカー

ジョーカー [DVD]

これは…!!
言葉を失う素晴らしさ。私が1番好きなジャンル。精神性の追求を作品として如何に表現し私を捻じ伏せてくれるのか、途中からワクワクが止まらなくなっていました。

先ずはホアキンフェニックスがこんなに素晴らしい俳優さんだと気付かせてくれたことに感謝したい。体重を20キロも減らして今作に臨んだ意気込みも去ることながら、クライマックスに向けて体重を少しずつ増やしていき、更にダンスの質を変えていくことにより、アーサーが次第に自信と満足を獲得していく心情が絶妙に表現されていて息を飲みました。

経済性だけで社会から見捨てられる、そんな忘れられた人々の持って行き場のない不満を、アーサーに乗せて表現している極めて社会性の高い作品だと思います。

加えてアドリブがふんだんに採用されていることで、この臨場感と瞬間的な魅力を生み出しているのは、今まで主にコメディを撮ってきた監督によって創られたことが巧く働いているのでしょう。

と同時に、私の中では、思いがけず映画「タクシードライバー」の完結になっていたのが嬉しいと言うか有り難かったです。かつてのアーサーであったデニーロが作中で射殺される。過去のひとりよがりが現在のひとりよがりによって葬られたその瞬間、長年未消化だった、人を殺しながらも偶然の幸運によって、罪を逃れ生き長らえたトラヴィスの、そして「タクシードライバー」の完結を見ている気がして溜飲が下がる思いがしました。

路地で女性の真珠のネックレスが切れて飛んだ瞬間、すべてが「バッドマン」へと繋がり、映画史に残る傑作となった。

若くして亡くなった美しき伝説リバーフェニックスの弟ホアキンは、この作品によって不動の名優になったと宣言します。

 

DVD